鎧(よろい)を脱ぐ時間
鎧(よろい)を脱ぐ時間は、だいたい夜にやってきます
昼のあいだ、私たちはいくつもの鎧を身につけています。ちゃんとしている自分、期待に応える自分、弱さを見せない自分。それは誰かに頼まれたわけでもなく、生きていく中で自然と覚えた身の守り方だったのかもしれませんね。
昼間はその鎧が役に立ちます。つらいことがあっても多少の無理がきいて、気持ちをごまかしながらでも前に進める。多少疲れていても「まだ大丈夫」と言えてしまう。
でも夜になると、その鎧が急に重く感じられることがあります。何も特別なことが起きたわけではないのにどっと疲れが出たり、理由のはっきりしない不安が浮かんできたり、もう何もしたくなくなったりする。そんなとき「気合が足りないのかな」「もっと強くならなきゃ」と考えてしまう人もいるかもしれません。
けれど夜にしんどくなるのは弱くなったからではなく、鎧を脱ぎはじめただけという見方もできます。一日中身を守ってきた体と心が「もう、ここまででいいよ」とそっと力を抜こうとしている時間。このブログでは、その夜の感覚を無理に変えたり、整えたりせずにそのまま言葉にしていきます。
鎧を脱ぐことは負けることでも、崩れることでもありません。終わるための、自然な動きです。ここまで読んで、「少し分かる気がする」と思ったら、それだけで十分です。
夜になると、体と心は「守るのをやめる準備」に入ります
鎧を脱ぐというと、意識的に何かをやめるような感じがするかもしれません。でも実際に夜に起きていることの多くは、「やめよう」と決めた結果ではありません。体と心のほうが先に切り替えを始めています。
昼のあいだ私たちは気を張り、周りを見て自分の状態を後回しにしながら動いています。それは悪いことではなく、生活するために必要な状態です。ただその緊張はずっと続けられるものではありません。
夜になると外からの刺激が減り、やるべきことの区切りが見えはじめ、体は少しずつ「もう守り続けなくていいかもしれない」という方向へ向かいます。そのときに出てくるのがどっと出る疲れや、理由のはっきりしない不安、何も考えたくない感じだったりするのです。
それらはうまくいっていないサインではなく、守る役割を終えようとしている反応とも言えます。昼の鎧は夜まで着続ける前提で作られてはいません。夜にしんどくなるのは、それを脱ぐタイミングがちゃんと訪れている、ということでもあります。
ここまでの話を読んで「そう言われると、確かに夜は昼とは違う気がする」と感じたら、それ以上理解しなくても大丈夫です。
夜のしんどさは「緩んだ証拠」として現れることがあります
ここでひとつ体の中で起きていることを、やさしく説明する言葉を置いておきます。
「防御反応」と呼ばれるものがあります。
難しく聞こえるかもしれませんが簡単に言うと、体が自分を守るために入れている緊張のモードのことです。昼のあいだ私たちはこの防御反応を使って過ごしています。多少無理をしても動けるように、感情を抑えて判断できるように、周りに合わせられるように。『鎧』という言葉は、この状態をとてもよく表しています。
でも夜になると、体はその防御を少しずつ解除しはじめます。すると今まで感じにくくなっていたものが表に出てきます。疲れ、だるさ、気持ちの揺れ、理由のはっきりしない不安…それは新しく不調が生まれたわけではなく、それらの不調を感じられる状態に戻ったというだけのことなのです。
体は防御が外れると、一時的にしんどく感じることがあります。でもそれは壊れているからではありません。体が「もう守らなくていい時間だよ」と教えてくれている反応です。
夜にしんどくなる自分を見て「ダメになった」と思わなくていい。それは一日中ちゃんと鎧を着ていた証でもあります。
ここまでで、少し見え方が変わった感じはありますか。
「脱がなきゃいけない」と思わなくていい、という視点
ここまで読むと「じゃあ夜は鎧を脱いだほうがいいんだ」そう思う人もいるかもしれません。でもここで大切なのは、脱ごうとしなくていいということです。鎧は意志の力で着ているものではありません。必要なときに、体が勝手に身につけたものです。
だから脱ぐときも「よし、脱ごう」と決断する必要はありません。夜にしんどくなるのは、上手に脱げていないからでも、まだ脱げていないからでもない。ただ体が脱ぐ準備に入っただけのことが多いのです。
もし夜に
・気が抜けてしまう
・何も考えたくなくなる
・人と距離を取りたくなる
そんな感覚が出てきたら、それを「ダメな状態」と評価しなくていいんです。
鎧を脱ぐ途中は、一時的に心細く感じることがありますが、それは次に何かを始める合図ではなく、一日を終える合図です。夜は整える時間でも、立て直す時間でもありません。「今日は、ここまで」そう扱ってもらえるだけで、体と心は十分に報われます。
ここまでの内容を読んで「無理に何かしなくていいのかも」と少しでも思えたら、それ以上考えなくても大丈夫です。
夜は鎧を持ったまま終わってもいい時間です
鎧を脱ぐ時間という言葉は、何か大きな変化を起こすことのように聞こえるかもしれません。でも実際の夜は、そんなに劇的ではありません。鎧を全部脱げなくてもいい、半分残っていてもいい、そもそも脱げたかどうかを確認しなくていい。
夜は「もう守らなくていいかもしれない」という気配が、体の奥に静かに広がる時間です。それに気づいてもいいし、気づかなくてもいい。言葉にできなくても、意味が分からなくてもいい。今日一日ちゃんと鎧を着て過ごしてきた体が、少し重さを下ろそうとしているだけ。
立て直さなくていいんです。
前向きに変換しなくていいんです。
何かに使おうとしなくていいんです。
このブログも、最後まで読まなくて大丈夫です。途中で閉じても、ここまででもう十分です。
夜はがんばらなくていい時間。鎧を脱ぎきれなくても、そのまま終わっていい時間です。
今日は、ここまでで大丈夫です。

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